春のみみずく朗読会の続き。
こちらの作品は、村上春樹さんがこの朗読会の日のために書き下ろした作品でした。
「タイトルは、夏帆 です。季節の夏に、船の帆と書いて、夏帆です」
と村上さんがおっしゃったときに、会場の雰囲気がぎゅっとひきしまって。
「だけど、夏帆は2月生まれです。夏帆の両親がなぜこの名前をつけたのかは、
私もわかりません。」とつづけておっしゃったときに、
ひきしまった雰囲気が一気にほぐれて、笑いが起きて。
そっかあ、物語の中の人たちは作者に生み出された存在ではあるけれど、
作者の手の届かない、生身の人間のように生きている部分があるんだなあと
なんだか不思議な気持ちになりました。
物語のテーマは、「顔・容姿」
自分の話をすると、
私の目はTHE一重で、可愛いや綺麗とはかけはなれている顔なのだけれども、
アイプチや二重に整形しようと思ったことは一度もない。
ソバカス肌で、小学生のころからほっぺたにそばかすや
いまとなっては肝斑が広がっているけれど、まあ、死にはしないしね、とそのくらい。
特別、大切に育てられたわけでもなく、自己肯定感が高いわけではないけれど、
自分の容姿についてあまり考えたことがない。
(ということを、この物語を聴いて読んで、初めて認識した。)
むかし、10代のころにはじめてつきあった人が
無類の一重好きで、歴代の元カノたちもみんな一重まぶた。
(つきあっていた人も、歴代の元カノたちも、バイト先の先輩だった。
いま思えば、喰われた感。)
ちなみに、当の本人はぱっちり二重。おい!
・・・それはおいといて、
人生ではじめて一重まぶたであることを「かわいい」と言ってもらったことで
「あぁ、そんなふうに思う人もいるんだなあ」と知ったことが、
一重まぶたで悩まなかった理由のひとつにあるように思う。
ラッキーだったね。わたしよ。
KPOPブームのおかげかわからないけれど、
ここのところよく一重まぶたを活かすメイクなんかを
ネットの記事や動画でよく目にするようになった。
けれども、モデルは韓国の美男美女のアイドルたち。マネできるかい!
ほかのパーツが違いすぎるぞ!と毎回思うのでした。
***
村上さんの生の声を、直接会場で、長く聞いたことで、
そのあとに作品を読むと、どの作品も村上さんの声で
再生されるんだなあ。作品の中でよくあるシーンのときには、
勝手に、ちょっと気まずい。「夏帆」の物語にはありませんでしたよ。
余談ですが、娘が生まれたら「夏帆」とつけようと思った。
予定はまったくありませんが。(しかも、娘が生まれる前提)
村上さんの何かの作品で、「白のフォレスター」が出てきたときに、
「次に乗る車は白のフォレスターだ!」と決めていたのだけれども、
その意思は簡単にゆらぎ、いま乗っている車は黒のインプレッサ。
共通点はスバルだけ。なんであの作品に出てきたのは
白のフォレスターだったんだろう?黒のインプレッサもぜひ登場させてくれませんか。