食べる楽しみ / 田辺聖子(中央公論新社)
人生には二つのたのしみがある。一つは食べること、もう一つはおいしいものをこしらえること――。通いつめた神戸の市場、奄美の豪快な豚料理、夏のスダチ酒とぬか漬け、なんといっても大阪のうどん。つくるのも食べるのも大好きな著者の、食にまつわるエッセイを精選。「献立メモと買い物の記録」「おもてなし日記」を初収録。(中央公論新社HPより)
またまた田辺聖子さんの一冊。
おいしいものを「こしらえる」・・・
あぁ、なんとすてきな表現でしょうか。
こしらえる、こしらえる・・・ 何度でも言いたくなっちゃう。
だけど、日常でこのことばを使うシーンって、あんまりない、よね?(私だけ?)
使えるような女性になりたいわぁ。
(「ちょっとこしらえてきますね」的な?そういう使い方?)
地方の食材や地域の食の慣習、家庭の食事のルールなど、
「食べること」について幅広く、そしてとても楽しく描かれた一冊でした。
とても印象に残ったものが「食事憲法」というもので。
浮気やバクチに関する憲法はないけれど、(←この一文がまた面白い)
食事に関してはいろいろとうるさい(だから食事憲法)
夜〇時には同居人と食事をとること、お昼ご飯も同じく。
食事中にテレビは見ない、などなど。
「家庭の食事のルール」ってちょっとあこがれるなあ。
独身女の夢見心地の妄想です。わはは。実際は大変ですよね。
だけれど、いつか家庭ができたら、(できる気はしていない)
私も「食事憲法」つくりたいなあ。
なぜならば、じぶんが小さいころ、家族で食事をとった記憶がないから、
むかしから「家族みんなでご飯を食べる」ことに少し憧れがあるのです。
母は仕事。食事はいつも妹とふたりで。それがふつうだと思っていたので、
さみしいなんて思ったことはなかったけどね。
母のすごいところは、どれだけ仕事が忙しくても、毎食手作りだったこと。
お惣菜とかほぼ食べずに育ったのだけれど、大人になって、母の努力がわかった。
お母さん、ありがとう。と伝えたいけれど、
母子家庭の母と娘。(しかも私は長女)いろんな確執がこれまでにあり、
まだ素直に伝えられていません。大人になりたい~
食べることは生きること、と聞くけれど、本当にその通りだと最近よく思う。
そして、30歳。食事は、量より質。間違いなく。
少しでよいから、おいしいものを食べたい。
すたみな〇郎が大好きだった私よ。信じられますか。
聞いちゃいたけど、年齢を重ねると、本当にこういうふうになっていくのだなあ。